グッド・モーニング

 四月になりたての早朝の空気はまだ冷たい。それを鼻から吸い込むと、走って火照った身体の内側がほんの少しひんやりする。ウチとその前を走る上鳴の息遣いと、ランニングコースに落ちている細かい砂を蹴る音だけが聞こえる。
 上鳴のシューズが軽快なステップを踏んだ。いつも休憩場所にしているベンチが見えてきた証拠だ。分かりやすい。上鳴は少しだけペースを上げて、ウチを振り返った。

「頑張れ、頑張れ」
 そして二回手を鳴らしてみせる。上鳴の後ろを走っているのは、別に疲れてるわけじゃなくて自分のペースで走っているからなのに。励まされてムッとしてしまう。
「大丈夫だって」
 ぶっきらぼうな声で言うと、上鳴はなぜかニッと笑って前を向いた。ぴょんと飛んでベンチの前に両足で着地する。ウチもスピードを緩めて、上鳴の隣にならんだ。

「あっちー」
 上鳴は着ているウインドブレーカーのファスナーを一気に下した。下に着ているTシャツの裾が風になびく。ウチは腰に巻いているランニングポーチからペットボトルを取り出して水を飲んだ。
「あんた前より体力ついてきたじゃん。別にウチに付き合わなくても、切島とか爆豪に付いて行ってトレーニングした方が良いんじゃない?」
 切島と爆豪の名前を出したのは、さっき寮を出る時に、同じくトレーニングに出掛けるこの二人に会ったからだ。上鳴が苦い顔をして手を振る。
「あいつらガチ勢だもん。マゾじゃないとついていけない」
「だから上鳴みたいにすぐ楽したがる奴には良いんじゃないの」
 えー、と唇を尖らせながら上鳴は、自分のウエストポーチを探るように何度か両手でたたいた。それから、ぺたんこなそれをじっと見つめる。
「あ! 飲み物忘れた」
 腰に巻いていて分かんないもんなんだろうか。今さら気が付くなんて。
「ん」
 ウチは手に持っているペットボトルのキャップを緩く締め、忘れ物をしたアホに差し出した。
「えっ、良いの?」
 上鳴はすぐに受け取らなかった。驚いてみせた後、二秒くらい経ってから遠慮がちに手を伸ばす。ぎこちない指の動きがおかしくて、思わず笑ってしまった。
「間接キスとか思ってんの? 小学生じゃないんだから」
「う、うるせーやい」
 思ってねーよ、と取って付けたように言うと、ばしっとペットボトルを掴んだ。そして、側面がへこむくらい握りながら、ぐっとペットボトルを煽る。思い切り傾けたから口から少しだけ水が零れて、上鳴はそれを手の甲でぬぐった。
「もう一口飲んで良い?」
「いいよ、好きなだけ飲みなよ」
 普段あまり遠慮がないやつなのに、変なところで律儀だなと思う。上鳴は喉を鳴らしてもう三口飲むと、ありがと、と言って半分くらいまで中身が減ったペットボトルをウチに返した。





 朝にランニングを始めたのは、春休みの二日目からだった。休みだからと気が緩むのが嫌だったし、体育祭のことが気になってうずうずしていたからだ。昨年のウチは個人トーナメント出場ならず、指名もゼロだった。今年は何とか爪痕を残したいと思っている。
 休暇中も先生に申告すれば演習場は使えるけど、使用開始時刻は普段の始業時刻からだ。そもそも起き抜けのぼんやりした身体では、個性のトレーニングをするよりは単調なことをした方が良いと思って、ランニングを朝の習慣に取り入れることにした。

 始めてから二日目の朝、寮へ戻って来た時に、誰もいない共有スペースで寝起きの上鳴と会った。こいつはソファに座っていて、前にあるテーブルの上には濡れた空のコップがあった。たぶん喉が渇いたけど部屋の冷蔵庫の飲み物を切らしていたってところだろう。
 休みの日はゆっくり寝ていることが多い上鳴にしては珍しく早起きだったけど、やっぱり眠たそうにしていた。六割くらいしか開いていない目でウチを見上げ、上鳴は寝ぐせのついたぼさぼさの髪を掻いていた。

「走ってきたの?」
 上鳴はあくびを噛み殺しながら聞いてきた。ウチが頷くと今度は、怠そうに大きく伸びをした。
「すげー。春休みなのに」
「休みだからでしょ」
 優等生、とでも言いたげに上鳴は苦い顔をする。
「もしかしてずっと前からやってた?」
「まだ二日目」
「ふーん……」
 そう気のない返事をして上鳴は、二度寝しよ、と呟きながらコップを洗うためにキッチンへ消えていった。

 次の日、準備を整えて玄関に向かうと、ジャージを着てランニングシューズを履いた上鳴が居た。
「早く目ぇ覚めたから、俺もまぜて」

 たまたまできた早起きのついでのように言っておきながら、上鳴はこの日から毎日、ウチのことを玄関で待っている。二人で走り始めて今日で四日目だ。
 部屋を出てエレベーターに乗っている間、今日も居るのかな、と考えるのが日課になってしまった。ウチらは約束をしているわけじゃないから、居なければそのまま自分一人で出発するまでだ。だけど上鳴はちゃんと毎朝、ウチよりも早く玄関に居る。
 エレベーターを降りて玄関へ向かう途中、視界の端に派手な金髪を見つけると、ちょっとだけほっとする自分がいた。そんな気持ちに戸惑って、あんまり深く考えないようにしている。





「切島達どんなことしてんのかな」
 ウチがそう言いながらベンチに腰掛けると、上鳴も隣に座った。
「何かすっげー地味なことしてるみてえ。走り込みと筋トレって言ってた」

 一年の夏で仮免を取って、サポートアイテムやコスチュームも改良して、授業では実践戦闘訓練が多くなって、たった一年で驚くほど成長できたと思う。個性の使い方や戦闘のテクニックを覚えることに必死だった一年はあっという間に終わってしまった。
 授業ではもう、体力づくりや個性伸ばしをする時間も少なくなってきて、そのせいか皆この頃は地味な基礎練ブームが来ている。
 ウチも朝のランニングを選んだのは、無意識だったけどそのことが頭の片隅にあったのかも。思いがけない状況に立たされた時、へとへとで倒れそうな時、助けてくれるのはこういう練習の積み重ねだ。どれだけ地味なことを続けたかでその人の地力が分かる。

「そういうの、大事だもんね」
 上鳴がへこましたきり形が戻らないペットボトルを、何となく手でいじった。ボトルの中の水が、朝日を受けて時々きらっと光る。
「そうだけどさー」
 上鳴はタオルで顔の汗をごしごしぬぐった。そしてぱっと顔を上げると、ウチを見た。
「俺同じことコツコツやるの苦手なんだよね。やるからには変化とか面白さとか欲しいじゃん? 何か楽しみ見出さないと飽きちゃうんだよな」
「……ウチらだって走ってるだけじゃん。じゃあ面白くないでしょ」

 別にウチは上鳴に頼んで一緒に走ってもらっているわけじゃないのに、ナチュラルに愚痴られている気がして、反応に困った。でも上鳴のことだから、特に悪気もなく、何も考えずに喋ってるだけかもしれない。
 どういうテンションで居たら良いか分からなくて、無表情な声が出た。上鳴は急に慌てたように手を大袈裟に振る。

「あっ、や、こうゆるーく走るのは嫌いじゃねーよ! ほら、切島とか爆豪と走ると、あいつら途中でダッシュまぜんだよ。あれ怠くてさ」
 そしてせわしなく、折りたたんだタオルでぱたぱたと顔をあおぐ。心なしか頬が赤くなっている気がする。急に調子良くへらへらし始めたから、こっちもいまいち態度が決まらない。とりあえずひとつ、ため息をついてみる。
「情けないやつ」
「あいつら自分の筋肉苛めるの大好きだから。切島なんかそのうち自分の筋肉に話し掛けそうで俺こえーよ」
 二の腕に力こぶをつくって何かを語りかけている切島の図が、簡単にふっと頭の中に浮かんだ。
「やりそう」
 ぷはっと吹き出してしまって、そんなウチを見て上鳴も笑った。それにつられてもっとおかしくなってしまって、なぜか分からないけど腹筋が痛くなるくらい笑ってしまった。たった今の変な空気が消えていく。

 このベンチで休憩する時はいつも上鳴と他愛のない話をする。教室や寮の共有スペースでは、お互いからかったり、上鳴のアホな発言や冗談に笑ったりしてるだけなのに、二人きりで会うこの時間はちょっと違った。普通の会話をする。
 この間こんなことがあったとか、ネットで面白い記事見つけたとか、最近聞いてる音楽とか、子どもの頃の話とか。
 今日は大笑いしているけど、毎日そういうわけじゃない。笑い転げることがなくても、確かに楽しい。
 意識して近づこうとしていないのに、勝手に心がすーっとこいつに引き寄せられているのが分かる。このささやかな時間で上鳴の情報が増えていく。それは一円玉貯金に似ている。ちょっとずつだけど、コツコツと貯まっていく。

「ちょっとのんびりできるのも今のうちだよね」
 見上げると、薄い青色の空に少しだけ雲が浮かんでいる。
「新学期始まったらあっという間に体育祭だし。そしたらインターン始まって、中間だ期末だって」
 指を折ってイベントを数えると、頭の中でカレンダーが勝手にめくれていく。あれよあれよと七月を迎えそうだ。上鳴は悪戯っぽく、べっと舌を出した。
「つーかまず、始業式が普通に始まんのかぁ? 抜き打ちテストとか止めろよ」
「確かに」
 上鳴の疑心暗鬼な様子に共感できて、思わず苦笑する。ちょうど一年前のウチらは、自分たちの入学式にすら出れなかった。真新しい体操着に袖を通して体力測定をしたのは、何だかもっともっと昔の出来事みたいに思えた。

「てか耳郎、春休みの宿題やってる?」
「やってるってか、もう終わった」
 子どもの頃からウチは、長い休みの宿題はさっさと計画的に片づける質だ。多少無理してでも休みの前半に終わらせる。残りの休みで思う存分好きなことを楽しむためだ。
 上鳴はきょとんとしながら大きな目を何度も瞬かせたかと思うと、いきなりでかい声を出した。
「は!? マジで!? 早過ぎじゃね?」
「だってせっかくの休みだからやりたいこと色々あるし。決まってるもんはさっさと片づけるべきでしょ」
 おそらく何も手を付けていないんだろう上鳴は、腕をクロスして自分の身体を抱いた。
「こわっ」
「何が怖いの」
「あ~マジか~。俺もそろそろちゃんとやらねーとな」
 わざとぶるっと震えてみせた後、力を抜いた腕を下ろした。あー、とため息をついている。
「ヤオモモにすがるのは止めなよ」
 横目で睨みつけると図星だったのか、上鳴のうるさい動きが一瞬ピタッと止まった。そして、え~良いじゃん、と一人でぶつぶつ呟いている。しょうがない奴だな、と今度はウチがため息をついた。
 付き合ってやっても良いけど、なんて言葉が自分の意志と関係なく心に浮かぶ。無意識なそれをぐっと飲み下すけど、上手く飲み込めた気がしなかった。



 その時、遠くの方で人の声がした。ふいに顔を上げる。上鳴にはまだ聞こえてなかったらしい。どうした、と聞かれた。
「誰かここら辺走ってるみたい」

 こんな朝ご飯を食べる前から走っているのはヒーロー科の生徒で間違いないだろうけど、真剣に耳を澄ましてはいないから誰の声かは分からなかった。
 誰だろ、と呟いた時だった。
 急に上鳴に腕を掴まれ、ぐいっと引っ張られるままに立ち上がり、ベンチ裏の芝生に入った。そこには大きな桜の木があって、ウチらはそれの陰に身を隠すかたちになった。ウチが幹を背にして立ち、それに被さるように上鳴が向かい合って立つ。

「ちょ、ちょっと。何なの」
 あまりに突然のことだったから大人しく従ってしまったけど、この状況の意味が分からなくて抗議する。
「しっ」
 上鳴は自分の唇に人差し指を当てた。ウチらの距離はたった数センチだった。もうちょっとで服が触れ合いそうだ。
 金色の髪の生え際から流れる汗が頬と顎のラインを伝って、ぽたっと落ちるのまで見えた。
 上鳴はそっと首を伸ばしてランニングコースを覗く。聞きなれたきゃっきゃとした声が近づいて、すぐに通り過ぎて行った。

「……芦戸と葉隠?」
 聞くまでもなくこの二人の声だったけど、何となくそう尋ねると上鳴は頷いた。またこめかみから汗が流れる。状況はさっぱり掴めないまま、上鳴につられて息を潜めてしまった。
 これは、何なの。
 休憩して静まった鼓動が、突っ立っているだけなのに勝手に速くなる。

「……ねえ、何なの」
 完全に周りから人の気配が消えたのを確認してから、口を開く。見上げると上鳴は気まずそうに笑った。
「な、何となく」
「……はあ?」
 ぎこちない様子に、自分の呆れる声も何だか気が抜けてるのが分かった。
 すごく近いし、走った後で体温が高いから、上鳴の匂いがよく分かった。汗のせいなのかよく分からないけど、男の子の匂いがする。ウチも汗をかいている。くさかったらどうしよう、と今さら気になって首に掛けていたタオルで顔と首の汗を拭いた。
 上鳴が、あ、と離れる。

「俺、汗臭いよな! ごめんっ」
「ううん、大丈夫。むしろウチが」
 上鳴は自分の肩先に鼻を寄せてすんすん匂いをかぐ。ウチはタオルに顔をうずめたまま、何度か呼吸した。心を落着かせたいのに、沈黙が重なるたびに身体中に汗がにじんでしまう。
「も、戻るか」
 先に口を開いたのは上鳴だった。不自然な空気を頑張って終わらせようとしているのが分かった。ウチはなぜかすぐに頷けなくて、上鳴がぎこちなくウチの顔を覗こうとした時にようやく小さく、
「うん」
 と言った。



 上鳴が先に歩き出して、数秒遅れてウチはその後ろに付いて行く。目の前の背中はソワソワしていて、この場を繋ぐ言葉を探しているのが分かった。

 ウチは、どんな言葉が欲しかったんだろう。

 たった十秒ほど掴まれた腕が、上鳴の手のひらの温度も指の強さも覚えている。今もじんじんするみたいだ。
 戻るか、と言われた時に、ほんの少し不貞腐れてしまった心に気付いていた。何かが起こるんじゃないかって、あの一瞬に期待に似たものが胸に湧いた。だけど結局は曖昧にはぐらかされただけ。現実はドラマみたいにはいかない。だけどウチだって、決定的な言葉を貰ったってきっと戸惑ってしまうのに。矛盾がたくさん胸の中に渦巻いて、歩いているだけなのに息がしづらくて苦しい。
 モヤモヤを少しでも楽にしたくて、地面に向かって言葉を落とす。

「……意味分かんないんだけど」
「……ごめんって」
 振り返らずに上鳴は気弱な調子で謝った。別に良いけど、って言えなくて、ウチの口は勝手にもう一度、
「……ほんと、意味分かんない」
 と言っていた。ものすごく可愛げのない、いじけた声が出て自分でびっくりする。上鳴に、いやそもそも友達に対して、こんな風に不機嫌をあからさまにぶつけるのはいつぶりだろう。思い出せない。
 上鳴の足が止まる。それに気づいて視線を上げると、振り返った上鳴と目が合った。

「……意味、分かんない?」
 頬を赤くし、気まずそうに口元を少し引きつらせている。
「え?」
「……マジで意味わかんないって、思ってる?」
 だけどウチから目線を逸らしはしなかった。初めて向き合う上鳴の表情に、落ち着きかけた鼓動が再びせわしなく打ち始める。
 怒らせてしまったかな、と不安になってまたうつむいてしまう。上鳴は少し躊躇った後、大きく息を吸った。

「耳郎と二人でいるとこ、誰かに邪魔されたくなかった」
 さっきまでの弱気な口調とは全然違う、きっぱりとした声だった。
 上鳴はここ最近の朝の時間をどう思っているんだろうって、ずっと考えていた。ウチの抱いている気持ちとの答え合わせが今できた。胸がドキドキして上手く言葉が出てこない。

「それだけっ」
 ウチが黙っていると、上鳴は急におどけた調子になって自分の髪を乱暴に掻いた。
「俺ら最近良い感じかなーとか、俺一人で思ってたんだ。わりぃ、困らせちゃったな」
 ぼさぼさの髪のまま、眉を下げて笑う。
「忘れて」
 そして右手をひらひらっと振って、また前を向いて歩き出す。

 違う、そうじゃない。
 ウチがこのまま黙っていたら、きっと明日から玄関で待つ上鳴は居ないだろう。
「上鳴、待って」
 慌てて速足で追いついたけど、目を上げられなかった。喉の奥から震えてるみたいで、上手く喋れる気がしなかった。でも黙り込んだ態度ではあまりにも不誠実過ぎる。太腿の横に触れている指先が震えているのが分かった。

「……あんたが毎朝玄関で待ってんの、嬉しいよ」
 臆病を紛らわすために、ぎゅっと手を握りしめる。
「明日も、明後日も……、新学期が始まっても、続いたら良いなって、思ってる」
 
 だから、何て続ければ良いんだろう。どうして手がこんなに震えるんだろう。
 ふいに上鳴の手が伸びてきて、小刻みに震えるウチのこぶしを包んだ。

「俺も」
 そしてウチの手をそっと開く。なされるがまま、ウチは上鳴と手を握り合った。
「そう思ってる」
 上鳴の手のひらもウチに負けないくらい汗をかいていた。触れ合う部分から熱が伝わってきて、それが自分の体温と馴染んでくると自然と震えはおさまった。だけどウチらはしばらく手を繋いだまま突っ立っていた。
 たぶん同じ気持ちで、似たようなことを考えているんだと思う。心では確かに同じものを今感じているって分かっているのに、やっぱり決定的な言葉が欲しいような、でもあと一歩が踏み出せないような。

 ゆっくり目を上げると、ウチの視線に気づいた上鳴と目が合った。さっきよりももっと顔が赤くなっている。普段はチャラチャラしてるくせに、そんな表情を見せられて、こっちまで恥ずかしくなってしまった。
 はっきりしないのは、やっぱり嫌だ。ちゃんとしてよ、男なんだから、と苛立ちつつ、こういうことに男も女もないかって思い直す。胸の奥のムズムズに耐えきれなくなって口を開こうとしたら、上鳴が慌ててそれを制した。

「ま、待って!」
「……なに」
「お、俺から言わせて」

 真っ直ぐ見つめてくるちょっと不安げな瞳が、汗の滲んだ顔が、信じられないくらい熱い手が、心配になるくらい速く打つ鼓動が、全部全部上鳴の緊張を伝えてくる。
 あんただってこういうこと、怖いんだ。
 そんな当たり前のことに気付いて、言葉を探す上鳴を勇気づけるようにウチは、繋いでいる手にぎゅっと力を込めた。




2019.07.11 pictmalfem内のミニブログへ投稿
2019.08.23 サイト掲載・修正



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